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日韓共通で研究すべきは、現代史よりも古代史byharadatakeo
最後に、日韓国交正常化50周年を機に、提案したいことが一つある。それは、日韓共同での歴史研究である。

歴史研究といっても、日本の植民地支配や慰安婦問題といったことではない。「謎の古代史」を共同で研究するのである。

日本の古代史は、謎だらけである。『古事記』『日本書紀』に書かれた日本の建国神話はどうやって形成されたのか? 卑弥呼が統治したという邪馬台国はどこにあったのか? 大和王朝とは何だったのか? 4代にわたって日本を牛耳った蘇我氏とは何者か? 聖徳太子はなぜ隋の皇帝に非礼な書を送ったのか? 大化の改新とは何だったのか? 白村江の戦いはなぜ起こったのか?

日本の歴史学者たちは、こうした疑問に対して、日本人の誰もが納得するような解答を与えてこなかった。それはひとえに、狭い日本列島の枠内だけで日本史を解釈しようとしてきたからに他ならない。

私は昨年秋に、福岡県宗像市に数日間滞在した。その時、朝鮮半島から日本列島に舟が無事に着いたことを天に感謝した宗像大社を見学したり、玄界灘から朝鮮半島方面を眺めたり、地元の学者の話を聞いたりしながら、「国境のなかった古代」に思いを馳せた。

そこから韓国人学者たちが書いた論文を読み始めたら、かつて高校で習った「日本史」とはまったく異なる世界が展開されていることを知って驚愕した。当時の朝鮮半島と日本列島を「一つの生活圏」と考えれば、「日本古代史の謎」の多くは解けるのである。

折りしも日本に残る韓国文化に関しては、日韓国交正常化50周年を記念して、韓国文化院が『日本の中の韓国文化』という45分ほどのDVDを製作した。それを観ても、古代における「日韓一致」がよく分かる。

ともあれ、これから日韓共通で研究すべきは、現代史よりも古代史である。古代史研究が進み、「日韓同源」だったというところから、両国の和解が進めばと願う。
Lasting Volatilities and Consequences
Based on what I’m currently experiencing both inside and outside my own institute, I firmly believe there are two different human beings in the world. The one is those who are quite aware of their own common mission from the very beginning, and continue to build up the better world. Thanks to synchronicity, they are automatically connected to each other and collaborate together without causing any mutual frictions.

Another is completely different. They don’t understand the mission and stick to the small world surrounding them. Of course, they never become aware of what the global community is heading to, and have no interest in evading its tragedy. They really love to blame for each other and don’t help but block any attempt for innovative leadership.

It’s true that this kind of dichotomy among the human beings is genuinely rooted in the famous “Le Chatelier’s principle”. The world and nature keep equivalence because of antagonism between two different powers. For example, the God exists based on the fact evils live in the same world.

Even though this is exactly the case for the current world affairs, I have the strong feeling that all the negatives have been increasing dramatically these days. Everyone is trapped in on-going total deflation and triumph of Kronos. Volatilities last while nothing significant happens. Nothing, which is significant enough to be capable of changing the world. Instead, the world keeps to be shaken without moving on to the next phase.

In these circumstances, those who don’t share the mission shown above for the better world, just accumulate all the negatives in their mind and continue to battle for meaninglessness. Instead of awaking for the true mission, they remain to live in the world of total banality
今月中は連続で高値更新か PART2byyamamotosinn
きのうの当欄では「明日にも日経平均はITバブル時の高値どころか、96年12月の2万1067円を上抜けても不思議はない」と書いた。今日の日経平均の高値は2万952円なので、96年12月の高値までは65円足りなかったが、97年6月の高値2万910円は一時更新した。

TPP(環太平洋経済連携協定)妥結に不可欠なTPA(大統領通商一括交渉権)法案が今日上院で採決される、昨夜の審議打ち切り動議は賛成60、反対37でギリギリ可決しているので(動議可決には5分の3の賛成が必要)、今日の採決もほぼ同数の賛成が見込めるとすれば、楽勝で可決できそうだ(過半数の賛成で可決)。

ただ、オバマ大統領は当初、TAA(貿易調整支援制度)法案とセットでないとTPA法案には署名しないと宣言していた。なので、今日TPA法案が上院を通過しても、オバマ大統領は法案にすぐにはサインしない恐れがある。サインしなければ成立しないので、ここでもTPP妥結の日程が若干、後ずれするリスクは残る。

それでも、今月中にはオバマ大統領もサインせざるを得ないだろうから(議会の夏休みが近づいているので)、TPPの事務レベル交渉は一気に前進しそうだ。7月中の大筋合意(政治決断の一歩手前)は間違いないだろう。

そうなると、これまで常に一過性に終わっていたTPP関連株人気は、かなり長期化する公算が大きい。以前も書いたが、TPPは参加12カ国による緩やかな市場統合なので、日本のように外国企業による直接投資が異常に少ない国は、政府の規制緩和次第だが、かなり大きな恩恵を受けると見ていい。

メリットだけでなく、もちろんデメリットもあるのだが、金融、雇用、サービス、医療、不動産など、規制や許認可が多い業種ほどメリットの方が大きい。関連株の物色人気は次第に盛り上がってくるだろう。
多方面からの悪材料に注意BYyamamotosinn
中国株が暴落に近い下げとなっている。今日の上海総合株価指数は7.4%安の4192ポイントで終わった。6月12日は5166ポイントの高値をつけていたから、わずか2週間で20%近く暴落した計算だ。当局が40兆円以上の残高に膨れ上がった信用取引規制の強化に動きつつあることや(日本の信用取引残高の約13倍)、追加の金融緩和期待が遠のいたこと、信用取引で大損した個人投資家が自殺したとの報道などが嫌気された格好だ。

中国株がこれだけ急落したにも関わらず、今日の日経平均は65円安と小幅安にとどまったことは注目に値する。年初来高値からの下落率もわずか1%程度である。もっとも、私は6月いっぱいまで日経平均は高値圏で推移すると見ていたわけで、まあ当たらずとも遠からず、という感じだろう。

私は最近の後援会で株主総会シーズンが終了したら、銀行株など株式持ち合いが多い銘柄群は持ち合い解消売りに要注意だと警告している。毎年のことだが、日本の経営陣は株主総会までは極力悪材料を出さないように最大限努力し、総会が終わったら「あとは野となれ山となれ」とばかりに、増資や金庫株の放出、業績の下方修正など、株価が急落しそうな悪材料を平気で出してくる企業が多いからだ。

今年はとりわけ、7月から持ち合い解消売りが急増すると予想している。これが集中するのが銀行株。一部には、例えばみずほFGの場合、保有株式の含み益が1.5兆円規模に達するので、持ち合い解消をした時の売却益で自社株買いに応じれば、株価の下落を回避できるとの見方がある。

しかし、自己資本比率規制で縛られたメガバンクが、一部しか自己資本にカウントされない自社株を本当に買うかは疑わしい。コーポレートガバナンス・コードで持ち合い解消売りは相当な規模で出すと思うのだが、相手先企業が自社株買いをするとしても、銀行自身が放出された自行の株をすべて買い取るとは到底思えない。もちろん、ちょっとは自社株買いをするだろうが、アリバイ的な規模にとどまるような気がする。

ただし、銀行等保有株取得機構を活用すれば、その限りではない。銀行の保有株も、相手先企業の保有株も、申請すれば取得機構に時価で売却し、棚上げすることができるからだ。この取得機構の活用が本格化すれば、持ち合い解消売りは大きな悪材料にはならない。この取得機構の活用が本格化するかどうかが、7月以降の株式相場にとって、この上ない大問題と言えるだろう。
今回、私は今世界で起きている、私が考える「3つの重要な地殻変動」をお伝えしたい。
今回は、知り合いの中田安彦さんの報告を掲私が述べる「3つの重要な地殻変動」とは、一つには「金融秩序の変動」、「地政学的な変動」、そして「政治思想的な変動」である。この3つはそれぞれ別のジャンルに属するが、これらの3つの変動が相互に影響を与えながら、世界秩序(ワールド・オーダー)を大きく変えているといっていい。秩序の転換は少しずつ見えないように起きているが、時にそれが大きな「激震」となって表面に現れることもある。それを私たちは、鋭敏に見つけなければならない。それは、巨大地震が起きる前には、必ずその前兆となる動きが少しずつ観測できるようなこととよく似ている、と言えばわかっていただけるだろう。

 ここ最近で、最も大きな「激震」が表に現れたのは、2015年3月に起こった。それは中国が主導する国際的なインフラむけ融資の金融機関である「アジアインフラ投資銀行」(AIIB)の創立メンバーに、アメリカの有力な同盟国であったはずのイギリスが参加することを表明したことである。このニュースをロイター通信の日本語記事は次のように伝えた。

(貼り付け開始)

 中国主導のアジアインフラ投資銀、英国がG7で初めて参加表明
2015年 03月 13日 14:54 JST

[ロンドン 12日 ロイター] - 英国が、中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設メンバーへの参加を検討していることが分かった。オズボーン財務相が12日明らかにした。主要7カ国(G7)の中で初めての参加表明となる。

 オズボーン財務相は声明で「AIIBに創設時から加わることで、わが国およびアジア地域の投資と成長のため、無類の機会を創出することができるだろう」と述べた。同国は今月、ガバナンスなどの指針について他の創設メンバーと合意する予定だという。

 AIIBについては、中国が昨年10月、設立に関して支持国と覚書を交わす式典を北京で行った。アジア諸国のインフラ建設などの投資支援を目的とし、年内の発足を予定している。

 ただアナリストの間では、目的が世界銀行およびアジア開発銀行(ADB)と重複しているとの見方があるほか、米国ではガバナンス基準に対する懸念も出ている。

 米国家安全保障会議(NSC)のスポークスマンは、AIIBに十分なガバナンス基準や環境・社会基準があるか懸念していると発言。「英国の主権に基づく決定だ」としながらも「英国が発言力を利用して、高い基準の採用を進めることを期待する」と述べた。

 中国財政省は英国の決定を歓迎すると表明。「すべてが順調に行けば、英国は3月末までにAIIBの創設メンバーになる」との声明を発表した。

 AIIB設立に向けた覚書に署名したのは21カ国。インドネシアは後から参加表明したが、日本やオーストラリア、韓国などは立場をまだ示していない。

 韓国企画財政省の次官は12日、記者団に対し、中国などと参加の可能性を引き続き協議していると明らかにした。同省の関係者は、統治体制や運用上の透明性をめぐる懸念への対応策が示されていないため、決定を見送っていると述べた。

 関係筋の1人は、中国の出資比率が50%と伝えられており、それが本当なら韓国の意向があまり反映されなくなるとの懸念を示した。

(貼り付け終わり)

 このイギリスの参加表明を受けて、ドイツ、イタリア、フランスといった日米を除くG7の主要国が次々と、まるで「バスに乗り遅れるな」とばかりに、AIIBへの参加を表明した。これに対して、我が国の報道では、中国主導のAIIBへの参加に対して、「運営体制もまだはっきり決まっていないのに時期尚早だ」と批判する声が上がった。

 ただ、日本がAIIBに参加すべきか、しないべきかという「べき論」の問題を別にすれば、従来、重要な問題で米国と行動を共にしてきた、イギリスを始めとする欧州のG7諸国が、まだどうなるかわからない全く「未知数」のAIIBに参加すると決断したことは非常に大きい。私は、その前の段階で、BRICS諸国が「新開発銀行」という呼び名で開発銀行を設立しようとしていることには注目していたが、それはあくまで新興国主導の開発投資銀行にすぎないのであろうと思っていた。しかし、米国・ウォール街と並んで、歴史ある金融街であるロンドン・シティを擁するイギリスが参加表明をするという報道を聞いて、「これは地殻が大きく変動した」と思わずにいられなかった。それと同時に、中国の李克強首相が去年の6月にイギリスを訪問した際に、単なる商談ではなく、国家元首であるエリザベス女王との面会を強く要求し、それに女王が答えていたことの意味がより鮮明に見えてきたと思ったのである。

 ロンドン・シティは海外における人民元取引に拠点になると同時に、全般的な経済関係の強化を中国を図ろうとしている。それはイギリス国内で中国企業が行おうとしている、直接投資案件で目を引くものが最近増えてきたことに現れている。もともとイギリスは香港を植民地にした過去があり、今も香港の金融界に一定の影響力がある。今はイギリス国内を本拠地にしているが、HSBCという金融グループは、もとは香港上海銀行と呼ばれたアジアの銀行である。2015年のイギリス総選挙前後には、HSBCがもう一度、本拠地をアジアに戻すという動きがとりざたされた。表向きはイギリス国内で銀行に対する規制が強化されていることへの対応ということになっているが、それだけではあるまい。

 ロンドン・シティは2008年までアメリカのウォール街と並んで、高度な金融派生商品を売ったり、企業のM&Aによる手数料収入、さらに銀行内部に金融取引を行う「自己勘定トレーディング」部門を設け、利ざやを稼ぐことを主としてきた。しかし、リーマン・ショック以降、先進国ではウォール街とシティがあまりに規制も無しに野放しになってきたことが原因で巨大な金融危機が起きたという反省が広がり、自己勘定部門(要するに社内ヘッジファンド部門)を分離させるというヴォルカー・ルールが決まった。これまでのような実需に基づかない金融ビジネスでやっていくことが難しくなり、ウォール街の投資銀行は態勢を見直す動きになっている。

 そんな中、インフラ投資銀行という考え方を中国が打ち出した。これは実需を公的な金融機関が融資や保証をすることで掘り起こし、ビルや高速道路、高速鉄道、発電所などのインフラを整備するというものだ。AIIBは資金調達のためには、おそらくはドル建てか人民元建ての債券を発行して投資資金を募る。投資銀行は、証券会社が本来の業務であり、AIIB債券発行に関わることができれば大きなビジネスになる。中国企業と他の先進国企業が合併したりする場合にも、買収助言として投資銀行が関われる。イギリスの著名な投資銀行のロスチャイルドは、買収助言で大きく儲けようという動きではないか、インフラ投資は中長期に渡るものであり、短期のマネーを動かす従来型の金融業とは違う。しかし、アジア太平洋地域のインフラ需要は巨大なものがあり、金融機関としても安定した収入源になるということは歓迎だろう。インフラ投資銀行というビジネスモデルは、リーマン前の「金融資本主義」に対する「産業資本主義」と言えるものである。中国のインフラ投資計画は、第二次世界大戦直後のアメリカ主導の欧州復興計画であるマーシャル・プランに匹敵するという専門家の声もある。マーシャル・プランとの違いはそれが戦争の結果もたらされたものではない、ということだ。これが第一の変動である。

 次に、第二の変動である。AIIBにイギリスを含めた欧州勢、それにイギリスの旧植民地だったオーストラリアが参加表明をし、それに対して、日米が揃って参加を見送るというのは、この投資銀行が単に金融秩序の面だけではなく、地政学的な意味においても変動をもたらしたことを意味している。つまり、これまでは海洋勢力としてひたすら米国や日本と行動を共にしてきたイギリスが、同時にこれからはユーラシア大陸に対しても独自の戦略を持つということである。イギリスが急に中国と接近しているのは香港の問題と同時に、イギリスは中国の膨張政策には地理的な要員でほとんど影響を受けない、ということでもある。イギリスにとってむしろ脅威となりうるのはロシアのプーチン大統領だという認識だ。

 欧州大陸というのは、東西はすでにシベリア鉄道だけではなく、高速道路と鉄道網で一本でつながっている。だからドイツやフランスの欧州諸国の観光客がユーラシア大陸を東西に移動するというのはもうふつうの事になっている。東南アジア諸国(ASEAN)の経済発展と同時に、ユーラシア大陸諸国の経済圏としてのつながりを強める。同時にBRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の海を挟んだ国家との連携も深める。中国がAIIBや同時に進行している新シルクロード構想という「大風呂敷」で推進しているのは、そのような地政学的な秩序の書き換えである。南米まで中国との経済関係を深めていることに、自分達の庭を荒らされているとアメリカは警戒している。これからどんどん中国の国営企業が南米新興国の現地企業と合弁でインフラ整備を行い、資源や物品の貿易ルートを中国主導で構築されてしまうのではないか、ここにアメリカが危機感を強くいだき、TPPを実現しようと死に物狂いになっているのである。物事は先にイニシアチブを取ったほうが後々も主導権を得る。これが2番目の変動だ。

 同時に、民主主義において先進国であるイギリスが、民主主義とは全く相容れない中国主導のAIIBに対してコミットメントを率先して表明したことは、私が考えている3つ目の「地殻変動」である「政治思想的な変動」の話につながってくる。

 世界的に「リベラルの退潮」ということが問題になっている。日本でも2012年、2014年の年末に相次いで行われた衆議院選挙において、保守政党である自民党が圧勝し、リベラル派は野党が分裂して選挙に臨んだこともあり、大敗北を喫した。野党の間でも橋下徹大阪市長が率いた「大阪維新の会」の系統の国政政党「維新の党」が、リベラル派と保守派の寄せ集めであることもあり、アイデンティティ・クライシスに陥っている。

 また、私は日本における政治言論の動向について分析する本も今年初めに上梓したが、この本のなかで私が分析したように、日本において数年前ならば考えられなかったほどに(リベラル派や中道から見れば)右翼タカ派的な書籍が大量に出版されている。その多くは、非民主的な中国や韓国を批判するというたぐいの本であるが、その多くを読んでみると、その筆致が彼らが批判しようとしている中国や韓国、北朝鮮の不寛容さにもつながるものを感じざるを得ないのだ。

 ところが、この「リベラルの退潮」という現象は、日本だけの問題ではない。先ほど紹介したイギリスの総選挙でも、与党であった保守党が圧勝し、連立与党だった自由民主党(リベラルデモクラッツ)が壊滅的打撃を受け、同時に野党第一党である労働党もスコットランド独立を目指す地域ナショナリズムを標榜した政党に同地域の議席を奪われた。その前に行われたイスラエルにおいても与党リクードが事前の予測を覆して圧勝している。トルコなどではあまりに強権的なエルドアン大統領に対する反発もあり、クルド系民族政党が台頭しているが、これも純粋な意味で言う欧米型のリベラル政党とは別の動きだろう。

 リベラル退潮の動きを先取りしたかのように、フランシス・フクヤマと並ぶ、アメリカの著名な政治哲学者であるところの、ウォルター・ラッセル・ミードは、まさしく「The Liberal Retreat」という論考をフクヤマが主宰する「アメリカン・インタレスト」という雑誌に寄稿している。オバマ政権の6年間でリベラルはピークアウトしていくという分析だが、その証拠として「右派の運動である茶会党はまだ残っているのに、反ウォール街のオキュパイ運動は消えてしまったではないか」という指摘をしている。

 このような先進国において「リベラルの退潮」が起きていると同時に、中国や新興国の台頭が起きているのだ。これは世界における政治思潮が、リベラル・デモクラシーよりも手っ取り早く職と食い扶持を保証してくれる専制政治(権威主義的政治体制、authoritarianism)を支持してしまうのだろう。中国の友好国である国々は民主主義とは遠い国がほとんど。最近、建国の父、リー・クワンユーが亡くなったシンガポールも民主国家とは到底言えない権威主義国家だ。デモクラシーの国では二大政党化が進むと、政策にほとんど違いがでないために、米国のように同性婚などの宗教的価値観をめぐる対立が深まる傾向もある。そういうゴタゴタを見て、中国の国家指導者は「民主主義とは非効率的なシステムだ。人民を食わせることができれば政治体制はなんでも良いではないか」とかんがえるだろうし、民衆の側もそのように考える人々が居るのだろう。

 日本でも、金融緩和が主体のアベノミクスで株高になり、正社員が増えたかという雇用の質の問題を度外視すれば、失業率は低下している。大震災に見舞われたという特殊事情があるにせよ、国民に対して民主党政権は機能不全を国民の目にさらけ出したことも大きい。安倍政権は立憲主義を理解していないとリベラル派の政治家や学者たちは批判するが、株価が高止まる限り、安倍政権のナショナリスト的な政策が原因でこの政権が崩れることはないという感じだ。

 そのように政治思想の面でも変動は起きており、それが欧米諸国ではなく、中国やロシア、トルコなどの権威主義国家にとって有利なものになっている。このように3つの変動が相まって起こっており、これがアメリカの覇権という世界秩序を揺さぶり、世界は中国主導の多極化という状況を迎えているというのが私の考えだ。

 その意味では、もう一度リーマン・ショックなみの金融危機や第二次世界大戦並みの大戦争が起きれば別だが、世界秩序はアメリカのは破局的没落ではなく、安定的な中国の台頭という形で変貌していく。そして、中国というのは、覇権国アメリカが通貨を軸に覇権を維持したことを研究し尽くしている。中国は、自国通貨である人民元を、米ドル、ユーロの次の三番目の国際通貨にしていくことで、「人民元経済圏」を広げながら、「中華秩序」を受け入れる国を広げていくという、帝国建設の段階に来ている。同時に国内総生産(GDP)でアメリカを追い抜くことを目標にしており、これはもうすぐ達成できるだろう。

 日本経済新聞(2015年6月18日)によれば、スイフト(国際銀行間通信協会)の調べでは、世界の決済通貨に占める人民元のシェアは4月時点で2.1%。3年前の0.3%から急拡大し、2.7%の円に迫っている、という。また、2011年の段階で世界銀行の調査では、すでに「ドル、ユーロ、人民元の“3大基軸通貨”が、「25年の国際通貨体制として最もあり得るシナリオだと予測されている。

 さらに、「中国の人民元は世界の外貨準備の10%になる」と世界の中央銀行が予測しているというアンケート結果が報じられた。

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中国人民元、25年までに世界の外貨準備の10%に−中銀調査
2015/04/13 16:33 JST

  (ブルームバーグ):中国人民元が2025年までに世界の外貨準備の10%を占める見通しであることが、中央銀行を対象に3月実施された調査で分かった。

HSBCホールディング後援の中銀調査によれば、人民元は年内に世界の外貨準備の推計2.9%を占める見込み。外貨準備が総額5兆9000億ドル(約710兆円)に上る72の通貨当局が回答。そのうち35の当局は人民元を保有しているか、保有を検討中だと答えた。
ただ調査では人民元の交換性や限定的な投資の選択肢などについて世界の中銀当局者が引き続き懸念していることも示された。

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 この中央銀行に対する調査を後援したのが、まさに人民元の国際化を推進しようとしているイギリスのHSBCであるということを割り引く必要はないが、世界銀行の調査でも同様の結果が出ているので、あながち間違いではないのだろう。逆に言えば、ロンドン金融街が「人民元の国際化」の仕組みづくりに積極関与してアジアの経済秩序のルールメイカーの一翼を担うという強い決意が見えてくる。

 中国人民元が世界通貨になるために必要なのは、IMFにおいてそのように認められることである。具体的には、IMFがいくつかの通貨で構成される「世界通貨」であるSDR(特別引出権)と呼ばれる準備資産の構成通貨に人民元を加えるかどうかの判断にかかってくる。金融評論家のジェームズ・リカーズ氏の『ドル消滅』(朝日新聞出版)などでは、このSDRが本当の世界通貨になるという予測もされている。

 中国はIMFや世界銀行、そしてAIIBのライバルとなるADB(アジア開発銀行)に自国のエコノミストを送り込んで、国際金融機関の運営方法を吸収させてきた。別の言い方をすれば、中国は人民元のSDR構成通貨へのロビーイングを積極的に行っていたということだ。今年2015年はちょうど構成通貨の見直しの年にあたル。日本の財務省からIMFに派遣されている副専務理事の古沢満宏氏などは、産経新聞の取材に「今年が駄目だから2020年(に議論が持ち越し)とは考えづらい」(6月18日)と述べており、人民元の早期採用を匂わせている。人民元は取引が自由化されていないなど、課題が多いことも事実だが、SDR構成通貨入りを目指すために中国はこの点は大きく改革を進めるだろうと私は見ている。
 
 そして、中国は最終的には、建国100年にあたる2049年にアメリカに代わる世界覇権国としての地位を確立するのが目標だ、というのはアメリカの戦略家の共通した見方だ。例えば、マイケル・ピルズベリーというCIA、国防総省、米上院特別委員会等に勤務し、対中政策の基盤となる中国の対米認識分析や米国の対中政策の研究を続けてきた人物がいる。この人物が書いた『100年マラソン』という本がその認識の代表例だ。また、アメリカのシンクタンクでも、まさに「プロジェクト2049年研究所」というものがあり、これはすでに2008年から米政財界の有識者が集まって中国分析、政策提言を行っている。ピルズベリーの著作は米国の有識者の間で話題になっている。中国の南シナ海での強硬な埋め立て行動に対する反発もあり、アメリカの軍産複合体がこういう研究に資金を出していくという動きだ。

 ただ、それでも中国にとって重要なのはAIIBとシルクロード計画、人民元の国際化路線を軌道に乗せることだ。ユーラシア大陸のインフラ開発の主導権を中国が得て、同時に上海協力機構(SCO)を事実上のNATOのユーラシア版に作り変えていくことで域内の安全保障協力を強化し、アメリカが中東やアフガニスタンでの軍事行動、ロシアとのウクライナ問題での対立でリソースを奪われている間に、中国の帝国建設を既成事実化していこうとするだろう。

 中国の帝国建設といっても、それはかつての欧米諸国の植民地支配というものではない。確かに国内においてはチベットやウィグルの分離独立を厳しく弾圧している。しかし、これもアメリカがインディアンをかつて虐殺してきたことを思えば、帝国建設における「必然的な」流れだろう。ウイグル問題がネックになって世界が中国包囲網を作ることはない。

 問題になるとすれば、イギリスやドイツなど欧米諸国が中国主導のAIIBから離脱する時だ。もしそうなれば、中国とロシアといった陸の国家と海の国家が対立するという伝統的な地政学的な対立につながっていくと思う。ただ、中国が欧州企業の利益をうまく踏まえて懐柔すれば、ユーラシアに人民元経済圏が生まれることになるだろう。

 日本は、この地殻変動に否応なく対応を迫られる。日本はこのまま行けば、アメリカの「不沈空母」として中国を牽制させるコマとして利用されるだろう。いわば日本全体が「グアム」のような米国の準州になるというころだ。集団的自衛権の行使容認が決まれば、南シナ海で自衛隊が南シナ海の資源紛争に巻き込まれる可能性は増える。中国が嫌いな人は日本に一定数居る。私も中国型の専制主義が日本に輸入されることを望まない。しかし、中国が嫌いでも日本は中国から離れられない地理的な運命にある。

 イギリスは人民元の国際化という戦略にかじを切り、イギリスを巨大な香港として位置づけることを決めたようだ。イギリスは金融国家として生き、かつて大英帝国が支配した、インド、豪州、香港を巻き込んで、中国主導の世界秩序に関与し、ロンドン・シティの影響力を中国に残したいわけだ。

 日本はグアム型国家を目指すのか、香港型国家を目指すのか。あるいはその中間にあるシンガポール型国家を目指すのか。日本は今岐路にあるといえると思う。

中田安彦拝
 

載いたします。